出窓の冷気や結露、外からの騒音に悩んでいる人は多いはずです。
既製サッシが合わないことや測定ミスで作業が長引き、結果的に隙間風や開閉不良に悩むケースも少なくありません。
この記事では出窓の二重窓をDIYするときの基本手順と注意点を、プロの視点でわかりやすく整理してお届けします。
準備する道具と面材の種類比較、構造別の施工方式、実際のレール取り付けやフレーム組立、気密化のコツまで具体的な工程を順に解説します。
さらに測定ミスや結露悪化といった現場で起きやすい失敗とその対処法、最小限の工具セットと概算費用も提示します。
まずは施工箇所の事前確認から順に見ていきましょう。
出窓の二重窓をDIYで取り付ける手順と注意点

出窓に二重窓を取り付けると、断熱性能や防音性が大きく向上します。
ここでは初心者でも実行しやすい手順と、工事中につまずきやすいポイントを順を追って解説します。
準備する道具と材料
まずは道具と材料を揃えることが作業成功の第一歩です。
- メジャー
- 大きめのカッター
- 金のこぎり
- 電動ドライバー
- ドリルビット各種
- アルミまたは樹脂レール
- 内窓用面材
- すき間テープ
- シリコンシーリング材
- 養生テープと手袋
施工箇所の事前確認
取り付け前に出窓周りの状態を入念に確認してください。
木部の腐食や水染みがないか、下地がしっかりしているかをチェックします。
既存のサッシにガタつきがある場合は補強が必要です。
雨水の流れや外部の障害物がないかも確認しておくと後で困りません。
配線や配管が近くを通っている場合は位置を特定し、傷つけないよう注意してください。
窓枠の内寸測定
正確な寸法取りは失敗を防ぐ最重要項目です。
幅は上中下の三点を測り、最小値を採用してください。
高さは左右の二点と中央を測り、歪みを確認します。
製作余裕は素材と構造によるので、一般には左右それぞれ5ミリ程度、上下は5〜10ミリを見込むと収まりが良いです。
複数回測定し、記録してからカットに進んでください。
レール取り付け
まずはレールの取り付け位置を決めます、水平と平行が重要です。
レールを仮当てして、水平器で狂いがないか確認してください。
下穴をあけてから適切なビスで固定すると、割れや歪みを防げます。
隙間がある場合は薄手のすき間テープやシムで調整してください。
面材のカット
面材は材質に応じた切断方法を選ぶことが重要です。
面材 | 刃物・工具 |
---|---|
中空ポリカーボネート プラダン |
カッターでスコア切り スナップまたは細目のノコギリ |
アクリル板 | 刃先の鋭いノコギリ 高速切削では専用の刃 |
単板ガラス | ガラスカッター プロによる切断推奨 |
カットは必ず定規でガイドを取り、片側ずつ丁寧に行ってください。
プラスチック系は急な力で割れることがあるため、少しずつスコアを入れて折る方法が安全です。
アクリルは熱で溶けやすいので、切断速度を抑え、刃の目を細かくすると仕上がりが良くなります。
フレーム組立
フレームは仮組みしてから本締めすると誤差を減らせます。
コーナー部は専用のコーナー金具や接着剤で固定してください。
組立時は直角を出すことが肝心で、対角を測って誤差を確認しましょう。
アルミフレームの場合は面材をはめる溝の向きと面材の厚みを事前に合わせておくと作業がスムーズです。
はめ込みと動作確認
面材をフレームに収める際は、角から慎重に滑り込ませてください。
引き違いタイプはレールに乗せた後、少し浮かせて左右のバランスを整えます。
開閉を数回行い、引っかかりや片寄りがないかを確認してください。
動作不良がある場合はレールの緩みや取り付け角度を見直し、必要ならシム調整を行います。
気密化と仕上げ処理
隙間はすき間テープやシリコンシールで確実に埋めてください。
シリコンははみ出すと見た目が悪くなるため、マスキングテープで養生すると仕上がりがきれいです。
過度に密閉しすぎると結露が発生しやすくなるので、換気経路は確保しておきましょう。
最後に外装側の水切りや雨仕舞いを確認し、雨漏りの原因がないかをチェックしてください。
出窓に向く内窓用面材の種類比較

出窓は外気に面している面積が大きく、断熱や結露対策が特に重要です。
ここでは代表的な面材の特性を比較し、出窓に向く素材を選ぶポイントを解説します。
中空ポリカーボネート
中空ポリカーボネートは軽量で断熱性に優れ、加工がしやすい素材です。
板が複層構造になっているため空気層が断熱効果を持ち、冷気の侵入を抑えやすいです。
耐衝撃性が高く、落下や飛来物に強い反面、透明度はガラスに劣り日射の透過や見え方がやや違います。
プラダン
プラダンは価格が安く、DIYでの扱いやすさが最大の魅力です。
- 非常に軽い
- 安価で入手しやすい
- カッターで簡単に切断可能
- 断熱性能は限定的
短期間の暫定対策や子供部屋の防風目的などには向いていますが、長期的な美観や耐候性は劣ります。
アクリル板
アクリル板は透明度が高く、見た目を損なわずに内窓を作りたい場合に適しています。
切断や研磨が比較的容易で、施工の仕上がりがきれいになりやすいです。
しかしキズが付きやすく、直射日光で黄変することがあるため、UV対策やメンテナンスを考慮してください。
単板ガラス
単板ガラスは視界のクリアさと耐候性に優れ、見た目を重視する出窓に適しています。
しかし重量があり、出窓の下地やサッシに負担をかける可能性があるため、強度確認が必要です。
断熱性は中空素材や複層ガラスに劣るため、単独で使う場合は気密対策や断熱フィルムの併用を検討してください。
複層ガラスユニット
複層ガラスユニットは断熱性と防音性に優れ、長期的な快適さを求める出窓に最適です。
性能 | 複層ガラスユニット | 備考 |
---|---|---|
断熱性 | 高 | 優れた室内環境維持 |
防音性 | 高 | 外音低減効果 |
重量 | 重い | 下地補強必要 |
価格 | 高価 | 投資効果あり |
コストや取り付けの難易度は高めですが、省エネ効果や結露抑制の面で優れた選択肢です。
出窓の構造や予算、求める性能に合わせて、軽量で加工しやすい素材から複層ガラスのような高性能素材まで比較し、最適な面材を選んでください。
出窓専用の構造別DIY方式一覧

出窓は形状が多様で、内窓の取り付け方法も複数あります。
ここでは代表的な4つの方式の特徴と施工時のポイントをわかりやすく解説します。
引き違い内窓(レール式)
既存の出窓の内側に追加するタイプで、上下または上下のレールに戸を滑らせて開閉します。
開閉性が良く、換気や掃除がしやすい点が魅力です。
- 密閉性の向上
- 開閉がスムーズ
- 既存窓の内側に設置可能
- 部材が豊富で調達しやすい
レールの取り付け精度が仕上がりに直結しますので、水平と平行の確認を念入りに行ってください。
戸の重量に合わせてレールの固定ビスやアンカーを選ぶとトラブルが少なくなります。
はめ殺しパネル
固定パネルとして面材をはめ込む方式で、開閉機構を必要としないケースに向いています。
施工が比較的簡単で、コストを抑えたい場合に有効です。
ただし換気機能が無いため、必要に応じて換気口や小窓を併用してください。
シーリングを丁寧に行えば、断熱と防音の効果を高められます。
引戸式内窓(鴨居・敷居)
建具のように鴨居と敷居を用いる本格的な引戸方式で、大きな開口部にも対応できます。
耐久性が高く、重めの面材や複層ガラスを組み込む場合に適しています。
設置には下地補強や鴨居・敷居の加工が必要になるため、ある程度の木工作業が求められます。
可動部の調整機構を使えば、長期的な微調整が容易になります。
フレームはめ込み式
枠を組んで面材をはめ込む方式で、面材の取り替えやメンテナンスがしやすい構造です。
長所 | 向く出窓のタイプ |
---|---|
取り替えやすい 組立が簡単 |
角型の出窓 小〜中サイズの出窓 |
気密の調整がしやすい 軽量素材と相性が良い |
内部に配線や設備がある出窓 掃き出し窓の内側 |
フレーム材はアルミや樹脂、木材など選択肢が広く、使用環境に応じて選ぶと良いです。
すき間テープやコーキングで気密を確保すれば、防音や断熱の効果が高まります。
工具と消耗品の最小セット

出窓の内窓をDIYする際に本当に必要な道具だけを揃えると、作業がスムーズになり費用も抑えられます。
ここでは最小限のセットについて、用途と選び方のポイントを分かりやすく解説します。
メジャー
正確な採寸は施工の成否を左右します、まずはしっかり測る習慣を身につけてください。
出窓では幅と高さだけでなく、レールの取り付け位置や内側の段差も測る必要がありますので注意してください。
- 幅
- 奥行き
- 高さ
- レール幅
カッター(大)
面材を切る際は刃のしっかりした大きめのカッターが便利です。
刃はこまめに交換すると切断面が綺麗になり、組み立て後の見栄えが良くなります。
厚みのあるポリカやアクリルは一気に切ろうとせず、何回かに分けてスコアして割る方法が安全です。
金のこぎり
フレーム材やレールの微調整が必要なときに活躍します、切断面の仕上げにも使えます。
刃は細かい目のものを選ぶと、切断時のバリが少なくなりますのでおすすめします。
力任せに切ると割れや曲がりの原因になりますので、ゆっくり一定のリズムで引くと良いです。
両面テープ
仮止めや面材の簡易固定に両面テープは非常に役立ちます、強粘着タイプを1本用意してください。
幅は20ミリ前後が使いやすく、厚手のフォームタイプは段差吸収にも適していますので検討してください。
接着面は必ず清掃してから貼り付けると粘着力が長持ちしますので、拭き取りを忘れないでください。
すき間テープ
気密性を確保するための必須アイテムで、種類によって弾力や耐久性が異なります。
屋内用の発泡タイプや防水性のあるシリコン系など、用途に合わせて選ぶと効果が高くなります。
貼るときは圧着して隙間が均一になるようにしてください、端部は少し余裕をもって切ると扱いやすいです。
ドライバー
ネジ類の締め付けに使う基本工具ですが、プラスとマイナスの両方を用意すると安心です。
電動ドライバーを使うと作業は速くなりますが、トルク管理をしっかり行ってください。
種類 | サイズ | 用途 |
---|---|---|
プラス | 2ミリ | 一般ネジ |
プラス | 3ミリ | 太ネジ |
マイナス | 5ミリ | 古い家具 |
以上が出窓の内窓作業で最小限に揃えたい工具と消耗品のリストです、まずはこれらを基準に準備してください。
出窓で起きやすい失敗と現場での対処法

出窓は形状が特殊で、内窓を取り付ける際は一般の平面窓とは違った失敗が起きやすいです。
ここでは実際に現場でよく遭遇するトラブルを挙げ、すぐにできる対処法を分かりやすく説明します。
測定ミス
最も多いミスは採寸の勘違いで、寸法誤差が製作や取り付け後の不具合につながります。
内寸だけを測って外周の段差や傾きを見落とすことが多いので、事前に断面を確認することが重要です。
水平や直角が取れているかを必ず確認し、複数回測る習慣をつけてください。
- 高さの取り違え
- 奥行きの未計測
- 斜め断面の見落とし
- 桟や見切りの考慮不足
メジャーだけでなく、短い定規や水準器でクロスチェックすると誤差を減らせます。
現場での対処は再測定を行い、必要なら現場合わせでカットできる余裕を持たせることです。
開閉不良
引き違いやスライド式の内窓で開閉が重くなる原因は、レールのズレや異物混入が多いです。
面材の膨張やフレームの歪みも開閉不良を招くため、温度変化を考慮したクリアランスが必要です。
原因 | 対処 |
---|---|
レールの歪み | 調整と交換 |
異物の噛み込み | 清掃と潤滑 |
面材の膨張 | 隙間調整 |
枠の不正確さ | シムで調整 |
まずはレールにゴミや削りカスがないか点検し、柔らかいブラシや空気で掃除してください。
潤滑にはシリコングリースが適しています、油性のものは埃を招くため避けてください。
フレームが平行でない場合は薄いシムを入れて矯正し、再度動作を確認してください。
結露悪化
内窓を付けたらかえって結露が増えたと感じるケースがあります。
原因の多くは換気不足で、外気との空気循環が極端に減ることです。
対処法としては、内窓に小さな通気口を設けるか、定期的に換気を行うことをおすすめします。
また、材料選びも影響します、断熱性能の低いパネルだと表面温度が低くなり結露しやすくなります。
湿度計で室内湿度を管理し、調湿機器や除湿器の併用を検討してください。
隙間風
隙間風は施工精度不足やシーリング不良で発生します。
まずは風の入り口を特定するためにティッシュや煙で気流を確認してください。
小さな隙間にはすき間テープや薄手のフォームテープが有効です。
大きな隙間は専用の発泡ウレタンで埋め、表面を整えてから可動部には接触しないようにしてください。
シーリング材は可塑性の高いシリコン系を使うと、動きに強く長持ちします。
面材の変色・劣化
プラスチック系の面材は紫外線や熱で黄ばみや脆化が進行します。
出窓は日当たりが良いことが多いので、UVカット処理された材料を選ぶと長持ちします。
日常の清掃は中性洗剤と柔らかい布を使い、研磨剤やアルコール系溶剤は避けてください。
傷が付いた場合は研磨である程度目立たなくなりますが、深い亀裂や曇りは交換が安全です。
施工時には将来的な交換を見据え、はめ込みが簡単な納めにしておくとメンテナンスが楽になります。
出窓の内窓は測定と下準備で半分が決まります、焦らず丁寧に進めれば失敗は減らせます。
不安が残る場合はプロに相談して部分的に依頼することも有効です。
施工後の点検項目と概算費用目安

施工後は見た目と動作を中心に点検する必要があります。
窓の開閉確認、レールや戸車のスムーズさ、面材のたわみや隙間、気密テープの密着状態をチェックしてください。
結露や水漏れの有無を数日間観察すると、初期不良や施工不足を早期に発見できます。
小さな補修はすき間テープやシリコンで対応可能で、材料費は数百円から数千円です。
材料の目安費用は中空ポリカなら1枚あたり3000〜15000円、複層ガラスやプロ施工を含めると合計3万円〜15万円程度が一般的です。
不具合や大きな隙間があれば早めに業者に相談することをおすすめします。