間取り図の窓記号を見て「これって何の窓?」「開け方や大きさはどう判断する?」と悩んだ経験はありませんか。
記号を読み違えると採光や通風、家具配置で想定外の問題が起きやすく、引き渡し後に後悔する原因になります。
この記事では代表的な窓の記号ごとの見分け方と、開閉方向・寸法・サッシ略号、ガラス仕様など図面で必ず確認すべきポイントを丁寧に解説します。
引き違い窓や片開き、上げ下げ、はめ殺し、出窓、腰高、高窓、天窓といった種類別の記号一覧から、U値や遮音性能など性能表示の読み方まで網羅しています。
また採光・通風・家具干渉・避難経路のチェック手順や、設計者に修正を依頼する際の記載例も紹介します。
結論を急がず図面を正確に読み解けるようになれば、失敗のリスクを大きく減らせます。
続きで各記号の見分け方と実践的なチェックリストを順に確認していきましょう。
間取り図の窓記号一覧と見分け方

間取り図に描かれる窓の記号は、一見すると小さな線や矢印ですが、窓の種類や開閉方法を瞬時に伝える重要な情報です。
本章では代表的な窓を取り上げ、それぞれの図面上の見え方と見分け方をわかりやすく解説します。
引き違い窓
引き違い窓は左右にスライドして開閉する、もっとも一般的な窓です。
図面では、二枚の長方形が横並びになり、中央に重なりを示す線や破線が描かれることが多いです。
窓種別 | 図面表記 | 見分け方 |
---|---|---|
引き違い窓 | 二枚の長方形が横に並ぶ | 中央に重なり線がある |
片開き窓 | 片側に扉状の枠が描かれる | 開く方向を示す矢印が付く |
はめ殺し窓 | 枠のみで開閉線がない | 開閉記号が存在しない |
図面での重なり線やスライド方向を確認すれば、引き違い窓と判断できます。
片開き窓
片開き窓は片側が蝶番で固定され、反対側が開くタイプです。
図面上では枠の一方に開く矢印や扉を示す線が描かれ、扉が開いたときの角度を示す扇形で表されることがあります。
開く方向が明確に示されるため、家具配置や動線検討に役立ちます。
上げ下げ窓
上げ下げ窓は縦にスライドして開閉する窓で、下部を持ち上げる使用が一般的です。
図面では上下に重なりを示す縦長の矩形が描かれ、上下の動きを示す矢印が付くことがあります。
見分けるポイントは縦長の構成と矢印の向きです。
はめ殺し窓
はめ殺し窓は固定式で開閉できない窓です。
図面には枠だけが描かれ、スライド線や矢印がなく、開閉を示す記号が欠けているのが特徴です。
採光や景観目的で使われることが多く、換気は別途考慮する必要があります。
出窓
出窓は室外側へ張り出す形状の窓で、室内に広がりをもたらします。
図面では壁面から突出した小さな突起として描かれることが多いです。
- 外側に張り出す形状
- 平面図で突出が見える
- 断面で出窓の台形が確認できる
- 内外の窓台が示されることがある
出窓は突出部分の記号を見れば容易に判別できます。
腰高窓
腰高窓は床面から一定高さに設けられる窓で、腰の高さに窓台が来る点が名前の由来です。
図面では高さを示す寸法やH値が注記され、窓台の位置を表す水平線で示されます。
リビングや寝室で視線とプライバシーを両立させたい場合に多用されます。
高窓
高窓は室内の高い位置に設けられる窓で、光を取り入れつつ視線を避ける用途に向いています。
図面では壁の上部に小さな矩形で示され、床からの高さが併記されることが多いです。
外観のバランスや採光計画の要となるため、配置に注意が必要です。
天窓
天窓は屋根面に設ける窓で、上方から直射光を取り入れることができます。
平面図では屋根開口を意味する記号や破線、断面図との照合で確認します。
雨仕舞いや防水仕様の確認が必須で、図面に施工上の注意が付記されることがあります。
窓記号の見分けポイント

間取り図の窓記号は一見すると小さな記号ですが、性能や使い勝手に直結する重要な情報を含んでいます。
ここでは、図面を読み解く際に押さえておきたい主要な見分けポイントをわかりやすく解説します。
開閉方向
まずは開閉方向の記号を確認すると、窓の操作方法や家具配置の制約が予測できます。
矢印や扉のような線の向きで開く方向を示していることが多いです。
- 引き違い
- 片開き
- 上げ下げ
- 内開き外開き
実際に図面で矢印が内側を向いているか外側を向いているかを確認して、窓前の動線を想像してください。
開口幅寸法
開口幅の寸法は採光や見た目の印象に直結しますので必ず確認してください。
図面にはW1200などと幅が数値で記載されていることが多く、単位はミリが基本です。
幅が大きければ開口部が広く取れる反面、ガラスの性能やサッシの重量も考慮が必要です。
矢印と破線
矢印は開閉方向を、破線は可動範囲や見え方を示すことが多いです。
例えば、破線で扇形のラインが描かれている場合は扉や窓の開く範囲を表します。
また矢印の先端が連続線で示される場合と点線で示される場合で意味が変わることがありますので、図面の凡例も合わせて確認してください。
サッシ略号
図面ではスペース節約のためにサッシを略号で表記していることがあります。
その略号を読み解けると、サッシ材質や形式を速やかに判断できます。
略号 | 意味 |
---|---|
FIX | はめ殺し窓 |
SL | 引き違い窓 |
AW | 外開き窓 |
DH | 両開き窓 |
現場や設計事務所によって略語は若干異なりますので、図面の凡例と突き合わせて確認してください。
ガラス記号
ガラスの種類は図面上の記号で示されることが多く、安全性や断熱性能に直結します。
単板ガラス、複層ガラス、強化ガラスや合わせガラスなど、略号や短い注釈で区別されていることがあるので注目してください。
例えば複層ガラスには「DL」や「2枚ガラス」などの表記が付くことがあり、性能確認の第一歩になります。
高さ表示
窓の高さは窓台高さや天井高との関係で生活導線や家具配置に影響します。
図面では窓高H1000などと表示されることが多く、これが床から窓下端までの高さを指す場合が一般的です。
腰高窓や高窓、天窓など用途によって推奨される高さが変わりますから、用途を念頭に寸法を確認してください。
窓記号で確認すべき性能表示

間取り図に記された窓記号は形状だけでなく、性能情報を簡潔に示していることが多いです。
断熱や遮音、防犯などの性能表示を見落とすと、竣工後に後悔することがあるため、図面段階でしっかり確認してください。
断熱性能(U値)
U値は窓から逃げる熱量を表す指標で、数値が小さいほど断熱性能が高いです。
間取り図や仕様表では「U=1.60」などと表記されることが多く、地域の基準や希望する省エネレベルと照らし合わせて確認しましょう。
トリプルガラスやLow-E複層ガラスの採用でU値が改善するため、記号だけでなくガラス構成の注記もチェックしてください。
遮音性能(Rw)
遮音性能はRwやdBの表示で示され、数値が大きいほど騒音を遮る力が強くなります。
道路沿いの部屋や隣家に面した窓は、最低でもRw値の目安を仕様書で確認することをおすすめします。
窓の開閉方式やサッシの材質によって実効性能が変わるため、カタログ値だけで判断せず、施工方法も合わせて確認してください。
気密性能
気密性能は隙間風や結露抑制に直結するため、住宅の快適性に大きく影響します。
図面上では気密等級やC値関連の注記が入ることがあり、窓ごとの気密仕様を確認することが重要です。
- シーリング仕様
- サッシ枠の納まり
- 網戸との兼用部
- 換気機能の有無
これらの項目が明記されていない場合は、設計者やサッシメーカーに詳細を問い合わせてください。
防犯性能
防犯表示は鍵の種類や強度、侵入抵抗の等級で示されることが多いです。
等級 | 意味 |
---|---|
Low | 一般家庭向け |
Medium | 強化された鍵と補助錠 |
High | 侵入防止性能が高い |
図面で「防犯ガラス」や「多点ロック」などの記号を見つけたら、その仕様と等級を必ず確認してください。
防火性能
防火性能は建築基準や用途地域に応じて求められ、耐火時間や防火区画の指定が図面に表記されます。
窓に防火サッシや複層耐火ガラスの注記がある場合は、その適用範囲と認定番号をチェックしましょう。
特に隣家が密集する地域や法的に防火設備が義務付けられる場所では、図面段階で明確に指示を出すことをおすすめします。
間取り図での窓配置チェック手順

間取り図を見るとき、窓の配置は暮らしの快適さに直結します。
採光や通風、家具との干渉や避難経路まで、図面段階で漏れなくチェックすることが大切です。
採光確認
まずは採光の基本を確認します。
窓の方位と隣地の建物の影響を図面で照らし合わせてください。
- 窓の方位(南西など)
- 窓高さと床からの距離
- 隣家や道路による日影
- 庇やバルコニーの影の入り方
- 室内での明るさが必要な時間帯
これらを元に、日中の採光が不足しそうな場所には窓追加や大きさ変更を検討してください。
通風確認
通風は暑さ対策と空気の入れ替えに重要です。
対角線上に開口があるかどうかをまずチェックしてください。
小窓や高窓があると温度差で空気が流れやすくなりますので、窓種と配置の組み合わせを確認しておくと役立ちます。
また、開閉方向や障害物で実際に風が抜けるかを間取り上でシミュレーションしておくと安心です。
家具干渉確認
窓まわりに家具や家電が干渉しないかを必ず確認します。
チェック項目 | 確認内容 |
---|---|
窓前のスペース | 600mm以上のクリアランス |
窓下の家具高さ | 窓下を覆わない高さ |
扉と窓の開閉干渉 | 開閉角度の確認 |
カーテンやブラインドの収まり | 収まりスペースの確保 |
表の項目を参考に、家具配置図と合わせて窓のクリアランスを確保してください。
窓が開かない場所に家具を置くと換気や避難に支障が出るため、必要なら窓位置の微調整を依頼しましょう。
外部視界確認
窓からの視界はプライバシーと住環境の質に関わります。
道路や隣家からの視線が気になる場合は、窓高さやガラス仕様の変更を検討してください。
視界を確保したい方向があるなら、出窓や高窓を活用する設計が有効です。
夜間の照明が外に漏れて近隣に迷惑をかけないかも一緒に確認してください。
避難経路確認
万が一の際に窓が避難経路として機能するかを確認します。
開口部の有効寸法や開閉方法が確保されているか、図面で寸法を照合してください。
2階以上ではバルコニーや避難はしごの接続性も重要ですので、外部へ出る動線を必ずチェックしてください。
地域の防災基準や消防署の指示があれば、それに沿って窓の仕様を決めることをおすすめします。
窓記号を修正・指示する時の書き方

間取り図の窓記号をそのままにしておくと、現場で解釈の違いが生じやすくなります。
意図した開閉方法や性能を確実に伝えるために、追記や注記を施すことが大切です。
ここでは実務で使える具体的な書き方と注意点を項目ごとに紹介します。
記号の追記
まずは図面上の窓記号のそばに、短い注記を追加してください。
開閉方向や枠数、FIX窓の有無などを一目で判別できるようにします。
例えば「片開き右吊り」や「引違い2枚」など、簡潔な日本語で追記するとわかりやすいです。
補足で矢印や破線を併用し、実際の開き方を視覚的に示すことをおすすめします。
寸法注記の追加
寸法は単に幅と高さを書くのではなく、実務で使う定義を明示してください。
- 開口幅 W=指定値 mm
- 開口高 H=指定値 mm
- 有効開口寸法
- 枠芯寸法
- 施工許容差
寸法終端には単位を統一し、ミリメートル表示を基本とすると混乱が減ります。
ガラス仕様の明記
ガラス種類は騒音や断熱に直結するため、必ず仕様を明記してください。
複層ガラスの有無、Low‑Eの種類、合わせガラスの層構成や厚さを記載します。
視線対策や日射遮蔽が必要な場所には、透明度や反射率の指示を追加してください。
サッシ品番の記載
可能であればサッシのメーカー名と品番を記載してください。
品番がわかれば色や枠断面、取手位置などの細かい仕様が確定できます。
図面には品番と併せて色番や仕上げも明記しておくと、発注ミスを防げます。
施工指示符号の併記
現場での誤解を避けるため、共通の施工符号と凡例を図面に入れておきます。
符号は図面の余白に凡例を付け、必ず誰が見ても意味が分かるようにしておいてください。
符号 | 意味 |
---|---|
F | はめ殺し窓 |
C | 片開き窓 |
S | 引違い窓 |
T | 天窓 |
凡例の下には代表的な注意事項を短文で補記すると、現場の判断が早くなります。
次の図面確認で使う窓記号チェックリスト

次の図面確認で使う窓記号チェックリストは、記号の種類と開閉方向、寸法、ガラス仕様、性能表示の有無を素早く点検するためのものです。
図面上の破線や矢印、サッシ略号を見落とさないこと、避難高さや家具干渉の有無もこの段階で確認します。
不明点はサッシ品番やガラス仕様の追記を依頼し、性能値はU値や遮音等級が明記されているかを優先して確認してください。
このチェックを習慣化すると、変更指示の精度が上がり、施工前トラブルを減らせます。