壁に新しい光を取り入れて部屋を明るくしたいけれど、失敗が怖いという方は多いはずです。
特に採寸から気密処理まで工程が多く、材料選びや賃貸での固定方法で悩みやすいのが現実です。
この記事では基礎の測り方から開口の切断、枠組みの組立、面材の固定、仕上げ塗装まで具体的な手順と注意点をわかりやすく解説します。
工具と材料の必須リストや面材別の選び方、壁タイプ別の施工ポイント、賃貸で使える撤去可能な固定法まで網羅しています。
安全確認や気密・防水の仕上げにも触れるので、見栄えと機能を両立した室内窓の自作を目指せます。
まずは採寸と施工計画のコツから始めるので、次の章へ進んで実作業のイメージをつかんでください。
室内窓DIYの作り方

室内窓を自作する際の手順を、測定から仕上げまで順を追って解説します。
安全と仕上がりの両立を意識して、段階ごとに確認ポイントやコツを紹介します。
採寸と施工計画
まずは開口の位置を決めて、周囲の動線や家具配置を考慮してください。
窓の見た目だけでなく、採光や視線の通り具合もチェックすることが重要です。
測定は複数回行い、縦横の誤差を確認してください。
- 開口幅
- 開口高さ
- 枠の厚み
- 上下左右のクリアランス
計画書に必要寸法と使用素材、作業手順を図で書き出すと施工中の迷いが減ります。
壁内部の構造確認
下地の柱位置や配線、配管の有無はスタッドファインダーで確認してください。
電気配線や給水管に傷を付けると危険ですから、見つけたら配線図に記録して避けてください。
断熱材や石膏ボードの厚みも確認し、必要なら小さな点検口を開けて内部の状態を確認します。
構造上の問題がある場合は補強や専門家への相談を優先してください。
開口の切断と処理
開口線はレーザーレベルや大きな定規で正確にマーキングしてください。
石膏ボードを切るときは最初に両面を軽く切り込み、内側から外側へ力を入れて割ると綺麗に外せます。
間柱を切る必要がある場合は仮の受け材を設けて荷重が偏らないようにします。
切断後の断面はヤスリやサンダーでバリを取ってから、防水テープやプライマーを塗って保護してください。
窓枠の加工と組立
窓枠は現場寸法に合わせて現合で加工するのがおすすめです。
接合はビスと接着剤、それにポケットホールで強度を出すと長持ちします。
組立時はクランプで仮止めして、水平と直角を何度も確認してください。
部材 | 推奨寸法 |
---|---|
外枠材 | 厚さ18mm 幅60mm |
内枠材 | 厚さ12mm 幅40mm |
ガラス受けレール | 幅10mm 高さ5mm |
ビス類 | 長さ30mm 40mm |
枠を仮組みしてから面材が嵌るかどうか確認し、微調整を行ってください。
面材の切断と固定
強化ガラスやアクリル板は専用の刃物やカッターで切断し、安全具を必ず着用してください。
アクリルは切断後にバリが出やすいので、耐水ペーパーで仕上げると透明度が戻ります。
ガラスを枠に固定する際はシリコーンシーラントかゴムブッシングを用いて振動吸収と密閉を両立させます。
スクリュー固定する場合は当たり面に薄いワッシャーやゴムスペーサーを挟んで、ひび割れを防いでください。
気密と防水の仕上げ
枠と壁の取り合いは、バックアップ材を入れてからシーラントで仕上げると効果的です。
湿気が入りやすい場所では、防水テープで二重に処理しておくと安心です。
気密性を高めたい場合は、断熱発泡剤で隙間を埋めてから表面を整えると良い結果になります。
シーラントは規定の養生時間を守り、完全硬化後に動作確認を行ってください。
仕上げ塗装と仕上げ確認
塗装前にはサンドペーパーで下地を整え、プライマーを塗布してから仕上げ材を塗ってください。
塗りムラを防ぐために薄く複数回塗ることを推奨します。
塗装が乾いたらハードウェアの取り付け、ガラスの清掃、開閉テストを順番に行ってください。
最後に周囲の壁や床へのダメージがないか確認し、必要があれば補修して完了とします。
必要な道具と材料

室内窓のDIYに必要な道具と材料を項目ごとにわかりやすく解説します。
作業の安全性と仕上がりは、道具選びで大きく変わりますので、用途に合ったものを準備してください。
ここで紹介する機材は必須級のものから、あると便利なアイテムまで含めています。
電動ドリル
電動ドリルはビス固定や下穴あけに欠かせない道具です。
充電式は取り回しがよく、コード式は回転力が安定しますので用途で選んでください。
ドライバービットとドリルビットを揃えておくと作業がスムーズになります。
トルク調整機能があると木材や石膏ボードの破損を防げます。
丸ノコ
大型の開口や長い直線カットには丸ノコが便利です。
集塵機能や定規を併用すると切断面がきれいになります。
刃は切る材料に合ったものを選んでください。
安全ガードや両手での操作を心がけて、安全に作業を進めてください。
ジグソー
ジグソーは曲線や窓枠の切り欠きに向いています。
細かい切り込みや角の処理が必要なときに重宝します。
ブレードの種類で切断面の粗さが変わりますので用途に合わせて交換してください。
切断中は材をしっかりクランプで固定することが肝心です。
メジャーと水平器
正確な採寸は施工の基本ですので、信頼できるメジャーを用意してください。
水平器やレーザー距離計があると誤差を減らせます。
何度も測り直して、基準線を墨出ししてから切断に移ることをおすすめします。
コーキング材とシーラント
気密と防水の仕上げに使うコーキング材は、用途で材質を選ぶ必要があります。
主な種類を押さえておくと、施工後の耐久性が違ってきます。
- シリコーン系シーラント
- ポリウレタン系シーラント
- アクリル系コーキング
- 防カビタイプシーラント
接着性や塗装可否を確認してから購入してください。
ビス・金物類
窓枠や面材の固定に使うビスと金物は、下地と材料に合わせて選ぶことが重要です。
不足しないように種類別に用意しておくと現場で慌てません。
品目 | 用途 |
---|---|
木ねじ | 木枠の固定 |
タッピングビス | 石膏ボード固定 |
L字金具 | 枠の補強 |
アンカープラグ | コンクリート固定 |
ビスの長さは材厚を考慮して選んでください。
また、仕上げ用の座金や隠し金具があると見栄えがよくなります。
面材の種類と選び方

室内窓の面材は見た目と実用性を左右する重要な要素です。
光の透過性や安全性、加工性、コスト感を総合的に判断して選ぶことをおすすめします。
強化ガラス
強化ガラスは割れたときに小さな粒状になるため安全性が高い素材です。
透明度が非常に高く、傷に強い点で重宝されます。
重量があるため、取り付け時は枠の強度や固定金具を慎重に選ぶ必要があります。
切断や加工は専門工具や業者に依頼した方が確実で、DIYでは端面処理に注意してください。
室内で視線をしっかり通したい場合や、高級感を出したいときに向いています。
中空ポリカーボネート
中空ポリカーボネートは軽量で断熱性に優れ、衝撃に強い素材です。
加工がしやすく、DIYでの扱いが比較的簡単なのも利点です。
ただし表面はキズがつきやすい面があるため、保護シートの活用を検討してください。
下の表で代表的な特性を簡潔に比較します。
特性 | 中空ポリカーボネート | 強化ガラス |
---|---|---|
透過性 | 良好 | 非常に良好 |
耐衝撃性 | 高い | 中程度 |
断熱性 | 良い | 低い |
加工性 | 容易 | 難しい |
重量 | 軽量 | 重い |
価格 | 中程度 | 高め |
アクリル板(キャスト・押出)
アクリル板は透明度と加工性のバランスが良く、DIYで最も使われる素材のひとつです。
キャストと押出の違いを理解すると選びやすくなります。
- キャスト 高透明 耐候性良好
- 押出 低価格 加工しやすい
- 厚みがあるほど剛性が上がる
切断はジグソーや丸ノコで行えますが、バリ取りとエッジ面の仕上げが重要です。
接着剤やシーラントとの相性に注意して、専用の接着剤を使うと長持ちします。
すりガラス調フィルム
すりガラス調フィルムはコストが安く、視線を遮りながら光を通すのに適した選択肢です。
既存のガラスや透明パネルに貼るだけで雰囲気が変わるため、賃貸にも向きます。
貼り直しや部分的な交換が比較的簡単で、メンテナンスも手軽です。
ただし貼り方や気泡の抜き方で仕上がりに差が出るため、施工は慎重に行ってください。
ミラー素材
ミラー素材は視覚的な効果を活かして空間を広く見せたいときに有効です。
軽量なアクリルミラーや金属調フィルムなど、用途に応じた種類が選べます。
反射による眩しさやプライバシーへの影響を事前に確認し、設置場所を決めると失敗が少ないです。
鏡面は傷が目立ちやすいため、取り扱いと清掃に注意が必要です。
壁タイプ別の施工ポイント

室内窓を安全に美しく仕上げるためには、壁の種類ごとの特徴を理解することが重要です。
下地の強度や配管配線の有無で採る施工が変わりますので、事前確認は念入りに行ってください。
石膏ボード壁
石膏ボードは扱いやすく、切断や加工が比較的容易です。
しかし、ビスの効きが弱く、特に荷重がかかる部分は補強が必須になります。
補強方法としては、下地材を入れるか、荷重を分散する金物を使うことをおすすめします。
- 下地補強用合板の併用
- 長めのアンカーで荷重分散
- 軽量フレームの採用
配線や配管が隠れている可能性がありますので、事前に探線機で確認してください。
切断面はほこりが出ますので、マスクと保護メガネの着用を忘れないでください。
下地合板・OSB壁
合板やOSBが下地に使われている壁は、ビスの保持力が高く、重めのフレームにも向いています。
素地がしっかりしているので、窓枠を直接固定できる場合が多いです。
ただし、表面の仕上げ材が薄い場合は、表面の割れに注意して下穴を開けるようにしてください。
木材用のビスを選び、長さや径を適切にすることで耐久性が上がります。
コンクリート壁
コンクリートは高い強度を持ちますが、穴あけが難しく、専用工具が必要になります。
アンカー選びと下穴のクリアランスを誤ると固定不良やクラックにつながりやすいです。
アンカー種類 | 用途と特徴 |
---|---|
プラグアンカー | 軽荷重向け 施工が簡単 |
拡張アンカー | 中荷重向け 高い保持力 |
化学アンカー | 高荷重向け 耐久性に優れる |
ドリルはハンマードリルを使い、粉塵対策をしっかり行ってください。
また、穴あけの際は水分や塵が入らないように気を付けると後の固定が安定します。
間柱仕様の薄壁
間柱のみで作られた薄い壁は、耐荷重が非常に低い点に注意が必要です。
窓の重量を受けられない場合は、必ず補強フレームを作成して荷重を分散してください。
補強方法としては、内側に合板や金属プレートを貼る方法が効果的です。
賃貸などで大きな改造が難しい場合は、軽量素材や突っ張り金具で代替する選択肢もあります。
最後に、どの壁種でも施工前に配管配線と耐震上の問題がないかを確認してから作業を始めてください。
賃貸での固定方法と撤去手順

賃貸住宅で室内窓を設置する際は、原状回復ができる方法を優先して選ぶことが重要です。
ここでは壁を傷つけにくい代表的な固定方法と、撤去時のコツを詳しくご紹介します。
両面テープ固定
両面テープは手軽で工具をほとんど必要としないため、賃貸でよく使われる固定方法です。
ただし接着力は製品ごとに大きく異なるので、用途と面材の重さに応じた製品を選ぶ必要があります。
取り付け前には接着面の油分やホコリをアルコールで拭き取り、完全に乾燥させてください。
貼り付け時は短辺中央と四隅近くに補強用のテープを入れて、荷重が一点に集中しないようにします。
撤去時はドライヤーやヒートガンで温めながらゆっくり剥がすと、壁紙や塗装の剥がれを減らせます。
強力な糊残りは専用の粘着除去剤やシリコンオフでふき取り、必要に応じて薄く表面を整えてください。
おすすめの使い分けは次の通りです。
- 低粘着タイプ
- 耐荷重表示あり
- 屋内用屋外用の区別
- 再剥離可能タイプ
突っ張り式金具
突っ張り式の金具は天井と床で圧をかけて支えるため、穴を開けずに比較的大きな面材も支えられます。
設置の際は天井の強度や傷防止用のパッドの位置を確認してください。
撤去はロック機構を解除してから圧を抜くことで、安全に取り外せます。
以下は代表的な突っ張り式の種類と特徴です。
種類 | 設置の特徴 | 撤去の容易さ |
---|---|---|
天井突っ張り柱 | 一本で支持可能 | 容易 |
多点支持フレーム | 安定性高い | 中程度 |
アジャスター式 | 微調整可能 | 容易 |
マグネット式フレーム
マグネット式は壁側に金属プレートを貼り付けておき、フレーム側を磁石で吸着させる方式です。
磁力で固定するため、取り付けと取り外しが簡単で、日常的に着脱する用途に適します。
注意点としては、磁石の引力は距離や厚みで大きく落ちるため、面材が重い場合は複数ポイントで固定してください。
壁に貼る金属プレートは両面テープや再剥離の接着剤で固定する方法がおすすめです。
撤去時には金属プレートを温めて粘着を緩めるか、粘着除去剤で残留物を除去するとよいでしょう。
仮設フレームの作り方
仮設フレームは壁に直接固定せず、フレーム自体で面材を支える構造にすることで原状回復を容易にします。
材料は軽量の角材や既製のアルミレールを用いると扱いやすくなります。
基本手順は次のとおりです。
まずフレームの外形を決め、面材サイズに合わせて角材をカットします。
次に角をボンドとビスで仮固定し、平行と直角を確認しながらしっかりと組み上げます。
面材はフレームの内側に差し込むか、溝を掘って落とし込む構造にすると着脱が簡単です。
フレームを壁に接する面には保護用のフェルトやクッション材を貼り、設置時の擦り傷を防いでください。
撤去時はフレームを外して、壁面に残った粘着や軽微な汚れを清掃すれば完了です。
必要に応じて小さな補修やタッチアップを行い、入居時の状態に戻してください。
施工前の最終チェック

工事に入る前の最終チェックは、安全と仕上がりを左右します。
採寸の再確認、電気配線や配管の位置、下地の強度を丁寧に点検し、必要な道具と材料が揃っているか確認してください。
養生の範囲を決め、落下物や粉じん対策を講じて、周囲の片付けを済ませてください。
賃貸物件の場合は管理会社への連絡と、撤去時の原状回復条件を事前に確認しておきましょう。
最後に作業手順を頭の中で順にたどり、安全具を着用した上で作業を開始してください。